試合中のアクシデントへの対応方法について記す。
対応方法を間違うと、無用なポイントを相手に与えることになる。
2019.04.21 update
緊急時の「タイム」
試合を安全・正常に続行できない場合は、片手をあげて「タイム」を要求して良い。
以下のような場合がある。
- 竹刀の弦が竹の隙間に挟まる、竹のささくれ、中結が曲がる、など竹刀の不備に気づいた。
- 相手選手に指や肘などを痛打されて、そのままでは不利な試合になってしまう。
- 捻挫など負傷や急激な体調悪化の発生。
- 相手との接触で、面がズレてしまった。
- 防具の紐に竹刀が引っかかって、正常に竹刀を操作できない。
- 袖口の中へ竹刀の剣先が入り込んでしまった。
- 目のゴミ、コンタクトレンズのずれ等、試合継続に支障がある。
- 面紐のゆるみ、手ぬぐいがずれて視界を塞ぐなど着装の乱れ。
タイムを要求する場合は、打ち合いや状況が一段落した時点でおこなう。
相手に攻め込まれている最中などに要求すると、
場合によっては「一本をとられそうな不利な状況を逃げ出すためにタイムを要求した」とみなされ、
「不当な中止要請」の反則とされかねない。
ただし危険な状態の場合には、躊躇する必要はない。
タイムを要求して主審の「やめ」がかかったら、タイムを要求した理由を説明しなければならない。
竹刀が相手の脇の下に入ったり、打突がそれて道着にひっかかった程度の場合、
「自己で解決できる状態」とみなされれば、お互いフェアに解決することが求められる。
そのため、選手が「タイム」を要求しても審判は「やめ」をかけない場合がある。
このような時には、タイムを要求せず、試合の動きが止まった状態にしてから、
相手と気を合わせて油断なく状況を解消する。
試合が動いている最中に、自分勝手に竹刀を引き抜こうとすると、打たれてしまう。
自分がタイムを要求しても、審判が「やめ」をかけるまでは絶対に気を抜いてはいけない。
タイムを要求するために審判に目線が行っている場合が多いが、
試合が中断されると思い込んでいると、気の抜けた不利な状況になる。
その隙に相手から打突されれば有効打突となりうる。
審判が「状況が膠着している」「危険である」と判断した場合には、選手がタイムを要求せずとも審判が「やめ」をかける。
転倒した場合
転倒した場合でも、試合は継続される。
おおよそ「ひと呼吸」の間に出された打突が有効であれば一本となる。
(ただし一打のみであり、一打があった時点で「やめ」が宣告される。)
転倒した選手が相手に打たれないために蹲るような行為は、
「逃げ回る行為」に等しいとみなされ、反則となる。
審判規則にも「倒れたとき、相手の攻撃に対応することなく、
うつ伏せなどになる」ことは、反則と明記されている。
したがって、転倒しても相手から目を離さず攻めに備え、
つけこまれて一本を取られないようにする必要がある。
ただし足を滑らせた等で前向きに倒れてしまった場合は、あえて上向きに体勢を変える必要はない。
そのまま下向きの体勢から立ち上がれば良い。
「ひと呼吸」の間に打突がなく、また特に危険もなく、そのまま立ち上がれば一方的に不利な状況が解消される場合、
審判は「やめ」をかけず、試合の継続をうながすことが多い。
竹刀を落とした場合
竹刀を落としてしまった場合も、転倒と同様に「ひと呼吸」の間は試合が継続される。
その間に出された打突が有効であれば一本となる。(ただし一打のみ。)
転倒とは違って、必ず「やめ」がかかる。
落とした時に鍔ぜりに近い間合にいる場合は、そのまま間合を詰めて相手の打突を封じてしまうのが良いだろう。
相手に組み付く選手もいるが、それ自体が反則なので、やめておいた方が良い。
間合が離れている場合には、左拳を眼前にあげて身構えて、素早く距離を取ってしまう。
うっかり場外に出てしまっても、反則を2重には取られない。
いずれの場合も、落とした竹刀に気を取られて無防備な状態とならないようにし、
一本を取られないことが最優先である。
逆にいうと、相手選手が竹刀を落とした場合は、反撃されることなく一本を狙えるチャンスである。
逃さずに一打を繰り出す。
落とした竹刀は
「竹刀について」にも記載したように、下座側の片膝をついて取り上げる。