初心者むけ入門講座

剣道の試合のルール

剣道の試合のルールについて一般的な内容を記す。
その大会の規程によって細かいルールが異なる場合があるので、よく注意する。
2019.04.21 update

試合

剣道の試合では、日頃の稽古で習得した技術・体力・気力・態度を互いに発揮しあう場であり、 「一本」を取り合うことで勝敗を競い合う。 「一本」とは有効打突のことであり、試合では相手選手の反則2回でも「一本」を取ることができる。

試合のルールは全日本剣道連盟の定めた「剣道試合・審判規則」と「剣道試合・審判細則」 と、 高校の大会では「全国高体連申し合わせ事項」に基づいておこなわれる。 さらに大会ごとに定められた規程があるので、それにしたがっておこなう。

選手は試合のルールや大会規程をよく理解しておく必要がある。

有効打突

「剣道試合・審判規則」には、有効打突について下記のように定義されている。
第12条
有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする。
  1. 充実した気勢
    気合・気迫がこもり、心身がひとつになった打突ができていることが必要。 打突部位を大きな声で呼称し、打突の意思表示をすることが大切である。
  2. 適正な姿勢
    姿勢が崩れると打突の強度が弱まり、冴えもなく、刃筋も崩れやすくなる。 良い打突は良い姿勢から生み出される。 また「姿の勢い」とあるように、ある程度の勢いも必要となる。
  3. 竹刀の打突部
    竹刀の中結のあたりから先を「物打」という。 日本刀では物打のあたりが、一番切れる部分である。 この物打の刃部(弦の反対側)で打突していることが必要となる。
  4. 打突部
    有効打突となるのは、以下に示す「面・小手・胴・突き」である。
    胴は左右どちらの胴を打突しても良い。一般に左胴は「逆胴」と呼ばれる。
    小手は中段の構えでは右小手、中段以外の場合は左小手も有効となる。 (上段や崩れた構えに対しては、左小手も有効になる。)
  5. 刃筋正しく
    竹刀の打突方向と刃筋の向きが同じになっていることが必要。 竹刀を振った方向に刃部(弦の反対側)が向いていることが、正しい刃筋での打突となる。
  6. 残心
    剣道では打突の瞬間だけでなく、その後の体勢や行動も含めて総合的に有効打突を判定する。 打突後に相手の反撃に対応できる、油断のない身構え(体勢)や気構えがあるかも見られている。
    ただし、必要以上に打突の有効を誇示・アピールしたり、ガッツポーズを取るなど不適切な行為があった場合、 いったん有効打突と判定されても取り消される場合がある。

これらの条件を満たすかを判断するために、 間合・機会・体さばき・手の内・強さ・冴えといった要件もあわせて考慮される。

有効打突は3人の審判の多数決によって決定される。 2人以上が旗をあげた場合、あるいは1人が旗をあげ2人が棄権(旗を前下で交差しする)の場合に、 有効打突として一本になる。

4分三本勝負

試合は通常、試合時間4分での「三本勝負」でおこなわれる。

三本勝負では「一本」を先に2つ取った方が勝ちになる。 ただし一方が「一本」を取り、そのまま試合時間が終了した場合は、その者が勝ちとなる。
試合時間が終了した際に、どちらも一本を取れなかった場合、 あるいは一本ずつを取っていた場合は、「引き分け」となる。 ただし個人戦の場合は、時間無制限の延長戦で一本を先に取った者が勝ちとなる。 また、団体戦でも延長戦をおこなう場合がある。

大会の規定によっては、試合時間が4分以外であったり、 一本勝負(一本を先に取った方が勝ち)である場合もある。

赤と白

試合者は背中に、赤あるいは白の目印(タスキ)つける。
審判は有効打突を取った方の色の旗を上げて、判定をおこなう。

通常はトーナメント表をみて番号の若い方、番号がなければ上か左に位置する選手やチームが、赤に割り当てられる。

個人戦と団体戦での勝敗

個人戦は三本勝負、あるいは一本勝負で勝敗を決める。

団体戦は、通常5人あるいは3人で1チームを組んで戦う。
ポジション名は、5人の場合は先頭から「先鋒」「次鋒」「中堅」「副将」「大将」、 3人の場合は「先鋒」「中堅」「大将」と呼ぶ。

通常は、個々の試合で試合時間が終了した場合、延長戦をおこなわない。 大将戦が終わった時点で、勝者の多いチームが勝ちとなる。
勝者数が同じ場合、取った一本の数の合計が多い(取得本数の多い)チームが勝ちとなる。 取得本数も同じ場合は、引き分けとするか、代表戦によって勝敗を決する。 リーグ戦の場合は引き分けとし、トーナメント戦の場合は代表戦をおこなう場合が多い。

トーナメントとリーグ戦

大会の優勝者を決める方式には、「トーナメント」と「リーグ戦」がある。

トーナメントでは、直接の対決によって勝ち残りを決めていき、 最後まで勝ち残ったチーム(選手)が優勝となる。

リーグ戦の場合は、リーグを構成するチーム(選手)が総当り戦をおこない、 勝った試合数の多いチームが勝ちとなる。 勝ち試合数が同じ場合は、一般的には引き分けや負けの数に応じたポイントの多い方が勝ちとなる。 なおも同じ場合は、取得本数の多い方が勝ちとなる。ここでも同点の場合は代表戦をおこなう。
リーグ戦での勝敗決定の詳しくは、大会で定められている規程にしたがうので、よく把握して試合を進める。

なお、最初に3~4チームで予選リーグをおこない、 上位1チームを決した後は決勝トーナメントをおこなう、という大会もある。 インターハイは、このやり方である。

対勝負と勝ち抜き戦

団体戦における試合方法は、「対勝負」と「勝ち抜き戦」がある。

対勝負は、先鋒どうし、次鋒どうしが順に試合をおこない、勝者数でチームの勝敗を決める。

勝ち抜き戦は、先鋒どうしの試合から勝った選手が勝ち残り、続けて試合をおこなっていく方法である。 先鋒が最後の大将まで一気に勝ち抜くこともあれば、 大将が相手チームの残りの選手のすべてに勝利して大逆転、ということもある。

反則について

反則については、こちらを参照のこと。