着装は他人とは関係なく、自分の心がけだけでできる。
格好良く身に着け、身も心も整えて稽古や試合に臨みたい。
2019.05.01 update
着装
剣道着や袴、剣道具(防具)を身につけること、身につけた姿を「着装」という。
着装は剣道を修錬する心構えを映し出すと言われる。
それはすなわち、ともに稽古や試合をする相手に対する礼の気持ちにも通じる。
いいかげんな気持で対峙するのか、真摯な気持で対するのか、ということである。
剣道への関心が強くなってくると、着装にも心がけるようになり、サマになってくる。
いつまでも格好悪くて構わないという人は、やはり剣道への関心が薄い。
そのような心映えで、相手に対することは失礼にもあたる。
実力のある選手で、「着装がみっともない」人はいない。
また「着装が悪い」選手が上位に進出するようなこともない。
現実問題として着装が悪ければ、審判の印象も悪く、相手選手からも舐められる。
審査では「着装が悪い」ことは大きな減点となる。
剣道着
- 剣道着を着る時は、襟を首筋にしっかり当てて密着させる。
首と襟に空間があるとだらしなく見える。
- 背中にシワや膨らみを作らない。
袴をはいた後、背中にシワが寄っていたり、膨らんでいたら、
袴の脇から手を入れて道着を前や下へ引っ張ってなおす。
稽古すればシワや膨らみはできてしまうが、随時なおす。
- 胸元にも注意
胸元がはだけていると、見苦しい。
道着が大きめの場合は、胸元にマジックテープをつけると良い。
- 袖が肘を隠さないモノは試合では使えない
中段に構えた際、肘を十分に保護する長さがない剣道着は、大会では使用できない。
反則とはならないが、審判主任より注意を受ける。
袴
- 腰板を腰に密着させる。
腰板が腰から離れていると、だらしない。
- 前下がり、後ろ上がり
袴の裾が「前下がり、後ろ上がり」となるように着ける。
垂れの紐を締め上げる前に、腰板を紐の上に出しておくと、後ろ側がズリ落ちることはない。
- 袴の長さは、くるぶしが裾で隠れるぐらいのモノを選ぶ。
つんつるてんは論外だが、逆に長すぎると裾を踏んでしまい、動きに支障が出る。
- 袴のひだが消えないように気をつける。
ひだが消えた袴は、だらしくなく見える。
時々、ひだを整えて寝押ししてやると良い。
面
- 物見を合わせる。
物見とは面金の隙間が一番広い部分で、
高校生の使う面は一般的に上から6本目と7本目の面金の間が広くなっている。
この部分に目がくるように着けて、前を見る。
これがズレていると、面金を避けて見るようになるため姿勢が悪くなる。
- 目の後ろで紐を結ぶ
目の後ろあたりで結ぶと、頭の面への収まりが良い。
横から見て、面紐が二等辺三角形となるのが理想的である。
後頭部の骨が出ている部分の下あたり(ぼんの窪)で結ぶ人が多いが、それでは低い。
低すぎると、頭頂部が丸くなって格好悪い。
面布団が耳を完全に塞ぐようになってしまうと、竹刀があたった時に鼓膜が破れてしまうこともある。
逆に高すぎると、試合中の攻防でのちょっとした接触で顎から面が外れてしまい、危険である。
また結び目の位置が低すぎると、面布団の長さがギリギリの場合は肩関節を保護できない場合がある。
結び目が低いと布団が首筋に引きつけられてしまい、布団の端が肩まで届かない。
もともと長さが足りないのは、身を守る道具として論外。
- 面紐の結び方
紐は横結びにして、縦結びにならないようにする。
結ぶ位置は左右にずれないよう、中央で結ぶ。結び目の輪と尻尾は同じ長さにそろえる。
面紐の長さは規則で40cm以内と決められている。美しさとともに、安全面を考慮した長さである。
面紐が途中でよじれたり、重なったりしないようにする。また紐はそろえて、隙間が空かないようにする。
- 面の型
面の型は着けた時のシルエットが、「富士山の裾野を描くように」する。
多くの面は、刺し(縫い目)の変わり目に沿って前方に曲げてやると、自然に正しい型がつく。
刺しの変わる辺りが、ちょうど物見と同じ高さになっているはずであり、この辺りで面紐を結ぶ。
面紐を結んだ後にも、この型になるように紐の結び目の下あたりから
面布団と頭の間に指をいれて隙間を広げてやると良い。
面布団を直角に曲げてしまうと、面布団が暴れて動きにくい上、
飛行機のようなシルエットになり、迫力がない。
また、突垂れと面布団の間が広がって、剣先が入り込みやすくなり危険である。
面布団の前端が跳ね上がっていると、不格好である。
竹刀を振りかぶった時に当たってしまうと、このような型がつくので、
特に試合前の待機中には補正したい。
小手
- 小手紐
紐がほどけていたり、長すぎたりしないように注意する。
逆に紐がきつすぎると、竹刀操作がやりにくくなる。
- 着装の順
小手は左手→右手の順で着け、外す時は逆に右手→左手の順でおこなう。
着脱時は甲手筒の部分をもっておこなうと、小手が痛みにくい。
胴
- 胴の高さ
左右の高さをそろえて、斜めにならないように気をつける。
胴の下部のラインが大垂の上部と揃うか、指1本分の隙間となるようにする。
- 紐
胴紐と腰紐は輪と尻尾の長さをそろえる。
腰紐は中央で結び、縦結びではなく横結びにする。
垂
- 垂れを着ける位置
垂れは腰骨を紐で締めるように巻く。
もっと高い位置で巻いている人がいるが、それでは腹巻きになってしまう。
- 紐
締めた紐の末端は、見えないように小垂の下へ押し込んで入れる。