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2023夏稽古の指針
合宿での稽古をふまえて
合宿での稽古をふまえて、熱中症への対応を含めた夏~初冬での稽古の指針を示します。
2023.08.14 update
目次
令和5年度の剣道部がめざすモノ
重点的に取り組むポイント
素振り
体当たり
突き
基本打ちでの追い込み
切り返し
基本打ち
出端技
地稽古
熱中症への対策
令和5年度の剣道部がめざすモノ
部の目指す姿
一人一人がよく考えて自分の課題と向き合い、向上心を持って稽古に取り組むことができ、 メリハリのある、お互いに切磋琢磨して高めあうことのできる部活。
目標
都大会ベスト16(シード権獲得)
※【参考】
インターハイ都予選でのベスト16
重点的に取り組むポイント
打突力
身体の出の勢い
体幹(体当たり)の強さ
打突力は「ぶったたく力」ではありません。手の内の冴えで剣先の鋭さを出すことで、しっかりした打突を作り出す。 「ゲンコツ握り」ではなく、小指・薬指・中指で竹刀を保持し、親指と人差し指でVの字を作るように握る。 また、気合(発声)と踏み込みの強さもあわせて、打突力を生み出す。
身体の出の勢いと体幹は体当たりで鍛えることで、打突の際に手打ちになることなく、身体全体で有効打突を作り出す。 また、当たっても当たらなくても打ち切って相手に迫る展開を作り、試合を優位に進める。
これらの強化には時間がかかります。夏から取り組んで成果を感じられるようになるのは、早くても11月の支部大会あたりでしょう。 遅くても12月の新人戦支部予選や国公立大会では、手先で当てるだけの剣道からは脱却したい。
技はシンプルに出端技
出端技は仕掛け技に分類され、これを成功させるには「一拍子での打突」「相手の出端を察知する感覚」「待つのではなく、状況を作り出す積極的な試合運び」が必要になり、 そもそも試合を有利に進めるためには大事なことです。
これらは往々にして国高剣道部に欠けている部分であり、出端技の稽古を通じて早めに身につけていくようにしたい。
(応じ技が中心になると、試合で相手の動きを見てから対応する「待ち」になりがち。)
素振り
なんだかんだ言っても、本数を振ることは大事。竹刀を振ることのできる身体を作ります。
特に夏場は面をつけないでやれることは、全部やる。(冬場は面をつけた稽古にシフトする。)
いろいろな動作の素振りがあるが、身体を自在に動かせるようにする訓練も兼ねています。
【注意点】
主将の号令にあわせて、全員が揃えておこなう。 主将は一本一本で全員が振り終わったのを確認して、次の振りを進む。 慌てて進むようになると、振りがいいかげんになる。
腕・肩全体をを使っておこなう。 すなわち肘をしっかり上下させ、上腕部が耳の横あたりに来るまで振り上げる。 特に左肘が伸びたまま(=右腕主導)の振り上げにならないように注意する。 竹刀は左右の腕をバランス良く使って振るものです(技の種類によっては右が主導となる場合もある)。
「ゲンコツ握り」にならないよう注意する。
一拍子で振る。「イチ、ニ」のテンポにならないようにする。 振り上げと左足の引きつけを早くするよう意識すると良いです。
剣先が先に動かないようにする。足を先に動かす。 竹刀を振り上げてから、足を動かすと完全に二拍子の素振りとなる。 ニ拍子が癖になると、面をつけた打突時にも継ぎ足をするなど「起こり」のわかりやすい打突しか打てなくなります。
【単独での空間素振り】
上下素振り(20本)
足を出しながら振り上げる。
振り上げた時に左の小指・薬指が緩まないようにする。
振り下ろしは、剣先を床ギリギリまで。手の内が伸びている状態にし、竹刀と腕で角度ができないようにする。 ゲンコツ握りで、手首の上側を無理に伸ばして強引に床まで届かせない。 腰を曲げることで剣先を床へ届かせたりしない。
振り下ろしと左足の引き付けが同時になるように振る。 剣先の振りが遅いと、身体は振り終わっているのに後から剣先がノンビリと追いついてくるような振りになる。
下を見ながら(俯きながら)やると、腰が曲がりやすいので注意する。
正面素振り(30本)
足を出しながら振り上げる。
振り上げた時に左の小指・薬指が緩まないようにする。
左拳は振り上げた地点から、振り下ろした地点まで一直線に出す(弧を描かない)。
高い位置から振り下ろすことを心がける。
振り下ろし時には、手の内を伸ばして剣先を遠くへ出すようにする。竹刀が立った状態なのは、ゲンコツ握りであることが多い。
振り下ろしと左足の引き付けが同時になるように振る。
剣先に勢いと、力を込める。
小手面胴の素振り(20本)
上記と同様に振る。
なめらかな身体移動、足さばきを心がける。身体をグラグラさせず、安定させる。
人数が多く横との間隔が狭い場合には、小手面の素振りでおこなう。
【二人組での素振り】
前進面(20本)
すり足でおこなう。
足を先に出して重心移動を始めてから、剣先を振り上げる。剣先を動かすのをなるべく我慢する。
重心移動は、右足と左足のどちらかに荷重が偏らないようにする。
一拍子でおこなう。振り上げ完了と右足の着床で「イチ」、振り下ろしと左足の引きつけで「ニ」という二拍子になりがち。 これでは鋭さがなく、また実戦で使える面打ちにつながらない。
踏み込みでの前進面(20本)
右足での踏み込みをおこなう。
左足を引きつけた時点で、足構えは最初の構えと同じにする。不安定にグラグラしない。
片手早素振り(20本)
特に振り上げた時に左小指や薬指が緩んでいると、竹刀を止めることができず、テンポ良く振れない。
振り上げた時に左肘が伸びていると、肩を使わない振りになって手首ばかりに負担がかかる。身体全体で振る訓練をする。
振り下ろした時に、剣先を叩きつけて押さえつけるような振りをしていると、剣先が自然に跳ね返らず、次の振り上げに苦労する。 正しい手の内で剣先を走らせることを身につける。
パワー依存で振るものではありません。剣先を少し上げた状態から単純に左手をバンザイの状態にするのは、簡単にできるはず。 すなわち剣先が少し跳ね返ったら、肩を使って竹刀を持ち上げるのは難しいことではない。 竹刀の位置と身体の使い方の連携を身につけるようにする。 いつまでたっても素早く振れないのは、「できるように」する工夫や試行錯誤が不足しているということです。
右手は腹部(胴)にあてておく。フラフラと安定しないと力が逃げてしまい、振りづらい。
早素振り(30本)
片手早素振りに、右手を添えて補助するだけ。
右手も使うことで剣先により鋭さを増し、打突力を出せるようにする。
左右胴(20本)
身体を左右にさばきながら、左右胴を打つ。右に移動しながら、相手の右胴を打つ(左に移動しながら、逆胴を打つ)。
テンポ良く当てるだけでなく、しっかり打突することを心がける。
打突部位を外してばかりであれば、振り下ろし時の拳の位置を上下に調整する。拳の位置を変えずに剣先だけで調整するのは不安定になりがち。
面返し胴(20本)
身体を左右にさばきながら、左右の返し胴を打つ。
受け手は胴を打たれたら、すぐに面に振り下ろす。相手が受ける準備ができてから振り下ろすと、テンポが遅く、稽古にもならない。
受け手は大きく振りかぶる必要はない。振り下ろしまでに間が空きすぎてしまう。振り上げは、水平より少し上あたりまでで十分。
打ち手は、竹刀を遠回りさせないように注意する。なるべく前で受けて、そのまま手の内を返して打突する。 受けてから大きく手元を引きつけるように振っていると、実戦では間に合わない。
お互いに胴の早素振り(20本)
それぞれが左右の胴を早素振りで打突する。
一方が下がって振り上げた時に、他方が前に出て胴を打突する。
最初の数本でお互いのテンポをつかみ、以後は素早く振る。
おっかなびっくりで、当てるだけのような振りにならないようする。しっかり打突する。
返し胴の早素振り(20本)
受け手は普通に早素振りをし、打ち手は返し胴を(左右を交互に)打突する。
受け手が前に出て面に振り下ろした時に、打ち手は下がって受ける。受け手が下がって振り上げた時に、打ち手は手の内を返して胴を打突する。
相切り返し(20本)
その場でジャンプしながら、お互いに切り返しを打ち合う。
ジャンプして上で切り結ぶ。着地した時に切り結ぶのではない。
最初の数本でお互いのテンポをつかみ、以後は素早く振る。
そっと当てるだけのような振りにならないようする。より強くより早くを目指し、お互いに向上するように振る。
なるべく「振り回し」ならないように心がける。「切り返し」で振る。
横での相切り返し(1往復×2)
横に移動しながら、相切り返しをおこなう。
その場での相切り返しでお互いのテンポがあったら、移動を始める。慣れれば、いきなり出発することもできるようになる。
お互いに遠慮して、小さな歩幅にならないように注意する。
縦での相切り返し(1往復×2)
一方は前進、他方は後進しながら、相切り返しをおこなう。
後進する者は背中側が見えない。前進する者が注意して、折返しを判断したり、他の組との衝突を避けるようにする。何となくやっていると事故になる。
お互いに遠慮して、小さな歩幅にならないように注意する。
体当たり
手先ではなく身体を出した打突の礎となり、相手を圧倒する基本となる。
また、強靭な足腰を作り上げることができる。
打突時の身体の勢いを身につけるために、すべての基本として最初に取り組む。
【注意点】
打ち手は、自分で止まらない。打突の勢いをそのまま相手にぶつける。 体当たりと同時に軽く踏み込むと、更に威力を増すことができる(体当たりから相手を押し込み、更に前へ連続して打突を繰り出す時に有利に使える)。
受け手は、その場でこらえて踏ん張ろうとしても耐えられるものではない(耐えられるようなら、打ち手の体当たりが弱すぎる)。
軽く前に出ながら踏み込み、お互いに体当たりするようなカタチで受ける。
受け手が、当たる前に相手から逃げるように下がるのはダメであるばかりか、打ち手の努力を無為にするものである。 このような行動をする場合には、打ち手もしっかり指摘することが必要。ここをお互いに流してしまうような部は向上しない。
体当たりの際は、左手は腰の高さにとる。胸の高さでは高すぎ、右手で面をパンチすることになり危険である。 竹刀は立てて当たる。
手を伸ばして当たると、手が当たってから身体が当たるまでの間に力を吸収することになり、肚どうしでの強い体当たりができなくなる。 どちらにとっても意味のない稽古になってしまう。
肘を体側に、脇を締めて当たる。
手のひらの甲を相手にむけて当たると、手の内に力が入らず手元が潰れてしまう。単に身体に挟まれるだけになり、ケガの元である。
刃筋を相手にむけた木刀をもったような状態で、相手に当たる。
呼吸を止めて当たると、上体だけの力に頼りがちなる。渾身の力を発揮するには、鋭く呼気を出す。
打ち手は体当たりで相手をはじいた瞬間に、更に腕で押し出すと体当たりの威力が増す。
頭を出して突っ込んでいかない。下半身から突き上げるように当たる。
走り込んで助走をつけたような勢いで当たる体当たりは、実戦では役に立たない(そのような打ち方は実戦ではやらない)。 理想的には、一拍子(一歩)での打突で強力な体当たりを作り出すことを目指す。
体当たりの追い込み(1往復×3~4回)
打ち手が体当たりで、受け手を下がらせていく。
受け手は相手に負けないように体当たりを十分に受け、当たりの強さに応じて自然に下がる。 体当たりの威力が弱ければ、下がる必要はない。
受け手は、正しい足構えで受ける。
左足を外にむけた「種目足」で受けると、打ち手がどんなに強く当たっても下がらないことができ、稽古の趣旨にあわない。 (場外の線際での攻防では、体捌きで身体の位置を入れ替えるのが基本だが、種目足を使って踏ん張って耐えざるをえないこともある。)
お互いに強い気持ちをもって稽古に臨む。甘えた気持ちでやるとケガをします。
突き
実戦で突きを使う機会は少ないが、突きを正しく打突することは、すべての正しい打突につながります。
【注意点】
竹刀にささくれや割れがあると、相手にケガをさせてしまう危険性が他の稽古よりも高い。稽古前に確認する。
突きは、手先で突かない。足と身体を出すことで突く。
手先だけで突こうとすると、だいたい外れる。外れるので、そ~っとやるようになるようになり、意味のない時間となり、やめてしまう、と負の連鎖になる。
左足で床を押し、身体を安定して前進させ(前進面と同じ)、その上で手元をまっすぐ伸ばすだけ。これはすべての打突につながる。
手元に力が入ると剣先がブレる。ゲンコツ握りをしていると、剣先が安定しない。
黙って突かない。裂帛の気合で突く。息を止めていると、肩に力が入りやすい。
腕と竹刀に角度ができた状態で突かない。顔を近づけて、そ~っと当てに行くとこのようになりがちでもある。
腕を伸ばした延長上に竹刀がくるようにして、まっすぐ突く。 身体の勢いが腕を伝わって、腕から竹刀の剣先へと力の方向が一直線になるようにする。
左足を残さず、引きつけて突く。
最初は、近間から始めて良い。その代わり、思い切って突く。
逆に慣れてきても、あまり遠くから突く必要はない。せいぜい一足一刀くらいまで。
突き垂の奥、3cmまで突き抜くつもりで突く。その後は、手元を緩めて少し引く。突きっ放しにすると危険である。
受け手は正しく着装する。特に面布団と突き垂の隙間が大きいと、剣先が潜り込みやすい。 面紐は眼の後ろ辺りで結ぶ。「盆の窪」あたりで結ぶと低すぎる。
受け手は顎を引き、首を固めて突きを受ける(顎を引くとは、下を向くということではない)。
ぼ~っと受けていると、首がはね上がって危険である。
受け手は怖がって下がるなど、動いたりはしない。的が動くと、かえって外れやすい。
外れるのは、お互いサマと思って遠慮しない。よほどのことがない限り、イチイチ謝っているのも見苦しい。軽く会釈する程度で良い。
早く上達して、正確に突けるようになるのが、お互いのためです。
突きの追い込み(1往復×2~3回)
打ち手の突きの威力で、受け手を下がらせていく。
受け手を下がらせるために、突いた後に突き押し放すようなことは危険なのでしない。
当たった時に、腕と竹刀に角度ができていると威力が伝わらず、相手は下がらないです。
基本打ちでの追い込み
連続で打突を繰り出しながら前進する。手足と身体の調和した動作と、足腰や心肺機能の強化になる。
【注意点】
打突力の弱い、パタパタとした打ちにならないように気をつける。踏み込みと左足の引きつけが大事である。
お互いに、より早い移動ができるように心がける。特に受け手の下がりが遅いと、打ち手が詰まってしまい、勢いの弱い追い込みになる。 打ち手が少し遅くすると、受け手は安心するのか更に遅くなりがちである。
受け手は歩み足で良いので、左右の足の入れ替えを早くして、打ち手よりも「少し早い」くらいの感覚で下がる。 時々、竹刀を片手にもって下がる者がいるが、両手で保持する(体さばき・足さばきの範疇)。
受け手は背中側が見えないので、打ち手が打ち終わりを判断して示す。慣れた道場なので、受け手もある程度の予測はつくはずであり、ぼ~っと受けない。
打ち手が打ち終わったら、受け手は身体を右にさばいて通り抜けさせると同時に、身体を反転させる。
待機している者がいる場合は、壁に突っ込んでいきそうなのを見ているだけでなく、背中を止める。
受け手が打ち手の勢いに負けて、あるいは足がもつれて転倒する場合もあるが、頭から落ちると危険です。
「やばい」と思ったら、ぼ~っと天井を見ているのではなく、自分のヘソを見るようにすると頭から落ちない。気を抜かないことです。
道場を縦に使っても距離が短いので、打ち手が1往復や1往復半などを連続しておこなう。
道場の対角線上を使うこともできる。
距離が短いので一方向を、一息で打ち切る。
踏み込みが弱いと、気剣体を一致させにくい。
大きく伸びる面(2~3回)
大きい面を打って1~2歩伸びてから、次の面を打つ
打突後は構えに戻さず、伸びたらそのまま振り上げる。
しっかり打突して、打ち切る感覚でおこなう。
大きく伸びる小手面(2~3回)
大きい小手面を打って1~2歩伸びてから、次の小手面を打つ
大きく連続での面(2~3回)
大きい面を連続で打突する。
伸びる面がしっかり打突できてから、おこなう。さもないと打突力が弱くなりがちである。
小さく連続での面(2~3回)
小さい面を連続で打突する。
素早い踏み込みを連続で繰り返し、それに合わせて打突する。
一気呵成に打ち切る。
小さく連続での小手面(2~3回)
小さい小手面を連続で打突する。
難易度は高いが、小手面でひとつになるように区切って打つ。 連続面のように一定の間隔にはしない。
切り返し
切り返しはマジメにやると、負荷の高い稽古法です。
夏場は各1回ずつでも良いので、流さずにしっかり取り組む。特に呼吸法に注意する。
前進面(1方向・道場の端から端まで)
素振りでの「前進面」をおこなう。打突したら、そのまま構えに戻らず、そのまま更に前進して次の打突をする。
防具をつけているので、振り上げが小さくなりがちなので注意する。大きく振る。
一拍子で振る。
一本一本を区切って振り、手の内なども確認しながら打突する。続けての連続動作にすると、だいたい効果のない打突になりがち。
身についてきたら、次の「面打ち切り返し」にも含めて省略しても良いです。
面打ち切り返し
面体当たりから、左右面を前に4本後ろに5本打突する。これを2回繰り返して、最後に正面を打突して抜け、残心を示す。
前進面と同様に、足を先に出して振る。
一本一本を区切って、確認しながら振る。連続して当てるだけの振りにしない。
軌道が「振り回し」にならないよう、気をつける。
元立ちは、歩み足で間合いを調整しながら受ける。
前々後の切り返し
左右面を打突しながら、変則的な足さばきでおこなう。
「前→前→後」を3回くり返したら、「後→後→前」を3回くり返す。1往復だけおこなう。
最初の正面からの体当たりと、最後の正面打ちから抜けるのは同じ。
上体は左右面(2つ)、下肢は3つでセットになっているので、上体ばかり力をいれて足さばきを惰性で前後させているだけだと、できません。
一呼吸の切り返し
面体当たりから左右面で一往復し、正面を打突して抜ける(一往復だけ)。
呼吸法が大事です。構えあって気合を出し、そのまま面体当たりして、そこで息を吸う。 その後は息継ぎをせずに、最後の正面打ちまで打ち切る。
残心を示すまで、声のトーンを落とさない。息が正面打ちの打突で力尽きないように鍛える。
ここから後は一本一本を切らずに、息を長く使った切り返しになる。呼吸法の確認のために、この順でおこなう。
(竹刀で受ける)切り返し
通常の切り返し。
呼吸法は「一呼吸の切り返し」と同じ。理想は、体当たりの後の息継ぎ2回だけで最後までやり切る。 ただし本数が増えてくると、そこまでは保たないので打突の合間に素早く息を吸う。 息継ぎで時間がかかると、勝負の合間で動きが止まり隙ができる。
なるべく一回の呼吸でたくさん打てるようにするのが強化である。 ただし完全に吐ききって枯渇してから、大きく吸うのは実戦的ではないので、勘違いしてはいけない。
左右面を打って下がり、正面打ちに出る合間でだけは、息継ぎをしてはいけない。 もっとも危険な瞬間であり、ここでの息継ぎは良い打突の機会を相手に与えることになる。 (息を吸う瞬間には、打突を出すことができない。)
面胴の切り返し
切り返しの左右面に代えて、面→面→胴→胴と打突する。9本目は面を打って下がる。
面胴→面面胴胴の切り返し
切り返しの左右面に代えて、(前進しながら)面→胴→面→面→胴→胴→(後進しながら)面→面→面→胴→胴→胴と打突する。最後の胴は引き胴になる(下がる)。 面と胴が一本ずつ増えていく打ち方である。
面体当たり4回からの30本切り返し
面体当たりを4回やった後、5回目の面体当たりから30本連続での切り返しをおこなう。30本が終わったら、正面を打って抜ける。
面体当たりをした後、打ち手は相手と気をつなげ、剣先を相手にむけたまま(縁を切らずに)下がる。 ここで気を抜く癖ができると、実戦でも後打ちをされる。
30本だと、最後の面は右面になる。実際には31本目の左面を打ってから、正面を打突することになる。
呼吸法で、一本でも長く打てるように鍛える。
31本目を下がりながら打ったら、打ち手がそのまま下がって最後の正面を打つ。
31本目を前進して打ったのなら、受け手が下がって間合いをとり、打ち手がそのまま前進して正面を打つ。 打ち手が31本目を前進して打っていたのに、イチイチ下がったりしない。
基本打ち
夏場は土台作りが中心で「基本打ちだけ」に時間をかける余裕はないですが、進歩を確認するため時には時間を割いても良いでしょう。 要は目的を明確にもって取り組むべきということです。 単に「基本は大事」という認識だけで、「何が基本か」を自分なりにでも理解していないと、ただ本数をこなすだけの運動になってしまいます。
【注意点】
足さばきの意味を理解する。
足さばきは、自分の有利なポジションを確保する位置取りと、機会あればその瞬間に打突を繰り出せる体勢作り。
構えを整え、気迫を乗せて打突する。「や、面」や「や~メ~ン」では通用しない。
体当たりや追い込みで鍛えている身体の勢いを大事にし、打ち抜ける場合はすれ違いから離脱して残心を示すまで失速しないこと。 体当たりの場合は強く当たる。
一足一刀からは、足継ぎをしない。一歩、一拍子で打つ。
触刃の間合いから始める場合、一足一刀に入ったら一旦止まる。その場で不安定にグラグラしない。
実戦では打突の機会でなかったり、相手が想定外の反応だった場合には、仕切り直したりガードに切り替える必要もある(もう一歩攻め入ることが必要な場合もある)。 体勢が不安定では、何もできない。
「一歩入って打つことは、助走をつけて打つことではない」ことをよく理解する。
助走として利用することはあっても、「助走をしないと打てない」ということはあってはならない。
受け手も合気になって受ける。相手の気迫にあわせて声を出す。
受け手は最初から打突部位を開けておくのではなく、相手の起こりに合わせて必要なだけ隙を与える(大きく剣先を外しすぎない)。
打ち手が打ち抜けた後、振り返った時には双方が触刃の間合い辺りになるように、受け手は間を詰める。 突っ立って待たない。
大きく面
一歩詰め入り、一旦止まってから打突する。一足一刀から、継ぎ足なしでも良いです。
肩を使って十分に振り上げる。
足から動かして一拍子で打てれば良いが、なかなか難しい。 まずは伸び伸びと打てることが大事。
小さく面
一足一刀からは、必ず一歩一拍子で打突する。
最初から一足一刀の間合いで始めるか、一歩詰め入るトコロから始めるかは、各自で判断するか、その後の稽古の流れから全体で統一するかを選ぶ。 (合宿では、その後に出端面を続けたので一足一刀から継ぎ足なし、で全体統一して進めました。)
一歩詰め入る場合は、一旦止まる。
前進面での踏み込み素振りのようなカタチで、小さく面を打てるようにする。
防具をつけると前進面で踏み込んで大きく面打ちは難しくなるが、小さく面は容易に打てる。 これは必ず身につける。
継ぎ足や、助走に頼った打ちをしない。それをやっているうちは、強い選手には勝てないと考えて良い。
手打ちにならないように。そのために体当たりや突きなどの土台作りと、打突力強化に努めている。
まだまだ身体が残って手打ちになっていたり、左足が跳ねている人が多いです。 竹刀が当たっていることで安心や満足しては向上しません。
小手
元立ちは竹刀を正中線上から外さず、剣先をまっすぐ上げるだけ。左側に開かない。
竹刀を振るコースに注意する。相手の竹刀と平行に振れるよう、左拳の位置を意識する。
竹刀の先革で打突部位をとらえるように打つ。それでちょうど良くなる。
手の内をきかせて、打つ。ゲンコツ握りでは、冴えのある小手を打てない。
打突時に左拳の高さが構えより低くなると、手の内が伸び切らず、冴えのある小手を打てない。
踏み込みの歩幅に気をつける。 無神経にやっていると、面と同じ歩幅で踏み込もうとして突っ込みすぎてしまう。
結果、相手の身体に剣先がひっかかる。 それを防止するために腕を畳んだり、左拳を下げて打とうとして、さらに下手を植え付けてしまう。
上から打つ。最短距離で打つためか、下から小手を打とうとする者も多いが、逆に打ちは遅く弱くなっている。 大きく振りかぶって打つ必要はなく、軽く剣先を振り上げる感覚である。剣先の振り幅があった方が早く強く打てる。
下から打つと、面との打ち合いでは勢いに負けてしまう。 下からの小手打ちは、よほど手の内が良くなってからでないと、素早く強く効果的な打突はできない。
それでも小手は比較的小さな技なので、踏み込みを強くする。踏み込みが弱いと打突力も弱く、鋭い打ちにならない。
胴
胴打ちは、剣先のたどるコースの長さが面や小手よりも長いことを理解する。 したがって剣先をより早く振らないと、身体の移動や体捌きに対して剣先が遅れ、打突が当たる瞬間が遅くなってしまう。
手元をあげてから、足を動かすと打たれる。特に抜き胴の場合は、面を打たれる。 足を出しながら、竹刀を素早く振るようにする。
胴は一歩詰めてから打つが、一歩詰めるまで(左足の引きつけ終わるまで)剣先を上げない。
まっすぐ入り、最初から斜めには入らない(胴打ちがバレる)。
基本打ちでは、自分の前で胴を打つように稽古する。すれ違いざまに当たっているのは、剣先の振りが遅いためである。
(実戦では、結果としてすれ違いざまでの打突もよくある...というか、そちらの方が圧倒的に多い。 ただし基本打ちの段階から、それをやっていては実戦では振りがまったく間に合わない。)
剣先は遠回りし過ぎないように気をつける。特に右拳を左肩口にまで引き戻すのはやりすぎである。
打突する際は、右手主導になる。左は柄頭を引くことで剣先を加速させる。 打突の瞬間は、右手の平は伏せて下をむくようになる。
打突の瞬間は、横目で打突の位置をとらえる。目線を外さないこと。
目線が外れている人は、だいたい胴を外していることが多い。
逆に真正面から見えるように顔をむけていると、身体も開いた打ちになってしまう場合が多い。
左腰が引けて身体が開いていると、キレのある胴打ちは打てない。左腰をいれることで剣先も加速する。
打突した後は、左の握りを緩める。左でしっかり握ったままだと、竹刀が抜けない。 左を緩めれば、竹刀を振った方向(刃筋の方向)に素直に抜くことができる。
これができないと、左腰をひいて相手との間に隙間を作って無理やり通そうとすることになる。
小手面
大きく打つ場合、特に左足の引きつけを早くすることを意識する。 そうでないと、間延びした打突になってしまう。
小さく打つ場合、一本一本の打突力を意識する。 早く打とうとするだけだと、チョンチョンと当てて渡るだけの打ちになりがちである。 小手面の相打ちで負けてしまう。
少し近間から、左足を動かさずに小手・面の2打を右足でそれぞれ踏み込む打ち方も練習する(左足は小手では動かさず、面で引き寄せる。右足はそれぞれ踏み込む)。 この場合、1つ1つの打突を分けるのではなく「2つでひとつ」のテンポで打つ。 相小手面につながる。
小手胴
小手面と同じテンポで打てるようにする。 小手面と同じテンポだから、相手が面を避けようとして手元が上がる(胴が空く)。
【番外編】エアでの基本打ち
竹刀を持たず、面もつけずに基本打ちをする。 打突のインパクトにごまかされないので、動きや足さばきの悪癖が目立つ。
特に手打ちや、左足の跳ね、身体の動きの遅さは際立って見える。
踏み込みの強さ、身体の勢いがあると、竹刀がなくても十分に説得力のある打突に見える。 逆にそれらが貧弱だと、強いチームとの競り合いではよほど良い打ちでなければ一本にしてもらえない。
出端技
【注意点】
出端は「待って狙う」「相手の打ちを見てから反応する」という感覚では、出遅れる。
何を狙うか決めて先をかけ、相手の動きを誘い出して打つ。
最初は狙いが外れたら、ガードに転ずるようにする。 だんだんと狙いが外れても、プランBの攻めに切り替えられるようにする。
上達するにつれて「攻める」→「相手が反応する」→「反応に対応して打突する」が、 いろいろなパターンで臨機応変にできるようになる。
継ぎ足しなければ打てない、一拍子では打てない...では、出端技は難しい。
相手の動きへの対応が遅れてしまう。
きっかけは、自分が作るということを忘れずに。それが先をかけるということになる。
焦ってバタバタ仕掛けるだけが能ではないが、睨み合うだけで相手の動きを見てから自分が動くのでは勝負の場をリードできない。
出端では相手も打突を出そうとする瞬間である。実戦での出端の機会は、我慢を乗り越え、紙一重の怖さを感じるトコロにある。
少しでもリスクを減らして有利に勝負できるようにするのが、読みと誘い(仕掛け)。
出端面では左拳はまっすぐに相手の面へ、右拳は相手の拳よりも上になるように打突する。 下から打つと、逆に出端面に乗られる。
ただし右拳を胸元に引き寄せるようにしてはいけない(時間がかかる)。 素振りで振り上げが小さく竹刀を低い位置から振っている人は、このような場面でも竹刀の出るポイントが低くなりがちで、乗られてしまう。
出小手は、必ず上から打つ。 相手の剣先の動きによっては、結果として相手の剣先の下を通ることもあるが、小さく当てようとすると勢いに負けてしまう。
抜き胴はいろいろな打ち方があるが、まずは出端技と同じタイミングでの抜き胴を身につける。
派生の技として、返し胴も稽古する。タイミングは抜き胴とは少し違うが、狙いの心構えとしては同じで良い。
相小手面は、小手・面の2つで1打というテンポで打つ。 相手との間合いに応じて左足をその場に留めて、右足で2打を踏み込む。(自分から前掛かりで打つ場合は、すばやく左足を引きつけて打突する。)
必ずしも相手の小手をとらえる必要はない。相手の小手を打ち消すことが目的なので、竹刀の鍔元を打ち落とすようにしても良い。
小手を打つ際に手元を引き寄せると、逆に小手を打たれてしまう。しっかり踏み込んで竹刀を前に出すだけでも、案外さばける。
自分から前掛かりで打つと相手の横を打ち抜けられることもあるが、踏み込みの歩幅を小さくして打つ場合、打突後は引き面のように腕を引き上げ、上で決めるカタチを取ることも多い。
慣れてきたら約束稽古であれば、触刃の間からの打突に対しては、元立ちのペースで打ってきてもすべて対応できるようにする。 すぐに打突できる構えを整え、相手の起こりを察知し、一拍子で正確に打てるようにする。 特に相小手面の成功率は100%にすべきである。
その場での技練習
一足一刀より少し離れた程度の間合いで、受け手がカウントした後に小さく踏み出しながら面や小手を軽く打突する。
打ち手はそれに対して、同じく軽く踏み出しながら出端技を打突する。 タイミング、竹刀のコース、手の内、踏み込みの歩幅、竹刀の打突位置(物打ちや剣先)、打突後の剣先の処理などに注意する。
双方とも打ち抜けず、踏み込みの一歩で留まる。すぐに元の位置に戻り、次のカウントに進む。
この練習で正確にできないと、立ち合っての約束稽古では必ず失敗する。
面体当たり引き面で下がった相手が、出てくる機会をとらえる
元立ちが面体当たり引き技で下がり、また前に出て来る機会をとらえる。
下がりながらの相手を追い込んで打つ稽古ではない。 追い込み、不利な状況で無理に打突してくる機会をとらえる。
体当たりで押し込まれると、相手に引き離されてしまい、機会を逸する。 前に踏み込んで相手をはじき返し、相手が構え直したら触刃~一足一刀の間合いあたりになるように、捕まえておく必要がある。 間合いが切れて出遅れたら、逆に迎え打たれる場合もある。 逆にあまり詰め寄りすぎても、突っ込みすぎて技を出す空間的余裕がなくなる。
突きで相手を下げて、出てくる機会をとらえる
突きで相手を後退させ、踏みとどまって無理に打突しようとする機会をとらえる。
大きく間合いが開くことはないだろうから、場合によっては相手が後退するところを追い込んだ打突になる場合もある。
感触を確かめるための稽古
元立ちが、打ち手の打ちにあわせて打突する。
元立ちの方が出遅れるカタチになるので、出端技は必ず成功するはずである。
打ち手が面を打ち始めたのを見てから、元立ちが面を打つと出端面。
同様に小手打ちにあわせて面を打つと出小手、小手面にあわせて小手を打つと(間合いに注意)相小手面になる。
打突の感触やテンポを実感するための稽古方法であり、これだけで実戦で通用するようにはならない。
(時々、こちらの打ちにあわせてノコノコと遅れて打ってきてくれる選手もいる。逆に国高側が完全に出遅れているのに、合わせにいって打たれることもよくあるので、注意する。)
三人組
元立ちを2名立てて、打ち手は3種類の打突を出す。
隊列が整っているのを確認し、1人目に対してフリーな状態で気迫を乗せて面を打つ。
1人目から打ち抜けた勢いそのままで、2人目の面打ちに対して出端面に乗って打ち抜け、振り返る。
1人目の元立ちは、打ち手が振り返った時点で触刃の間合いあたりに詰めいり、面を打突する。打ち手は出端面を打突する。
3本の意味の違いを理解し、流してただマイペースに面を打つだけにならない。
2人目には、勢いそのままだが相手の起こりを察知して面にとぶ。
3人目に対しては、打ち抜けて振り返り、足構えや体勢をすばやく整える必要がある。さもないと打ち負ける。
小手の場合は、小手を打ち抜けた後は出小手・出小手となる。
胴の場合は、胴を打ち抜けた後に抜き胴・返し胴とする。振り向きざまに抜き胴は、簡単に面を探して打たれてしまう。受けて、返し胴で対応する。
小手面の場合は、小手面を打ち抜けた後に相小手面・相小手面とする。最初の相小手面は前掛かりで乗って打ち抜け、最後の相小手面は入り込まれるだろうからその場で打って上で決める。
2人目の元立ちが次の打ち手となる。打ち手は1人目の元立ち、1人目の元立ちは2人目の元立ちに移動する。
人数が余る場合は、1人が見取り稽古として次の打ち手に入る。
特に1人目の元立ちは、打ち手の振り返りに間に合うよう上手に位置取りをする。 2人目の元立ちが打突後にどちらの方向に行きやすいかを、考える。2人目の元立ちとニアミスしている余裕はありません。
各人の移動は以下の通り。
★ 以下は、全体でひとつひとつメニューとして取り組むというよりは、各人が選択し、相手とコミュニケーションを取り研究しながら進める内容の例です。
工夫次第で他にも出端をとらえる機会を作れるでしょう。
元立ちが遠間から一歩入って打つトコロを狙う
剣先どうしが離れた遠間から、元立ちは一歩詰めて面を打つ。
打ち手は相手の面にあわせて、出端面・出小手を打ったのでは遅い。 一緒に打突すると、先をかけて助走がついている相手の方に旗があがる。
元立ちが一歩詰めて左足を引き寄せる辺りを狙って打突する。
元立ちは打たせるのではなく、普通に面を打つ。打ち手が遅れたら、元立ちの面が当たる。 「遅れた打ちで成功する」と勘違いさせてはイケナイ。
ただし当初は、錬度に応じて少し剣先を空けながら隙の余地を残したまま打突するくらいは、良いでしょう。 (打ち手の竹刀のコースを少し空けてやるだけで、元立ちの打突のタイミングや身体の出る勢いはそのまま。)
慣れてきたら「触刃の間」から一歩詰めての打突でも、捉えられるようにする。
早く当てようとして、手打ちになる場合が多い。
相手が迫ってくるので大きく踏み出す必要はないが、しっかり左足で身体を移動させ、強く踏み込んで足で打つ。
元立ちの打突を小手にして、相小手面の稽古もできる。 ただし元立ちは助走をつけた小手打ちになるので、踏み込みの歩幅を小さくし、すばやく強い踏み込みで打突力を出す。 (大きく踏み込むと突っ込みすぎて、両方ともの打突が引っかかる。)
元立ちが一足一刀から手元を引き寄せて打つトコロを狙う
元立ちが一足一刀あたりから、いったん手元を引き寄せてから足を出して打つ瞬間をとらえる。
打ち手が、合図したら元立ちが打突する瞬間を狙う
打ち手が「ハイ!」などの発声で合図をしたら、元立ちが面や小手を打突する。
打ち手はタイミングを支配しているので、必ず決める。
打ち手が、詰め入るトコロを元立ちが狙う...のを狙う
触刃の間合い辺りから、打ち手が攻め入る瞬間を元立ちが狙って面(または小手)を打突するのを誘い出してとらえる。
当初は、はっきりとわかるように攻め入らないと、お互いに通じ合わないでしょう。 慣れてきたら攻め気が通じあうので、微妙な攻め入りでも成立するようになる。
打ち手は、左足の引きつけが遅いと出端技が間に合わない。
あまり近間で始めると、打ち手の対応が間に合わない。この間合いの感覚をつかむことも大事。
中心を攻めることで相手の反応を誘う
もっとも基本的な出端の機会
先をかけて元立ちの鍔元へむけて剣先をすり込むようにして攻め入り、 相手が不利(中心を取られている、上に乗られている)な状況で無理に打ってくるトコロを、そのまま出端にとらえる。
一見すると、ただの攻め入って(助走をつけて)の打突に見えてしまうが、「攻める」「相手が反応する」「相手の反応の起こり頭をとらえる」という感覚を持つ。
打ち手が自分勝手に打突するだけでは、ただの面打ち(小手打ち)になってしまう。 元立ちも、打ち手の攻め入りにあわせて反応を見せる対応が必要。 攻めに対して元立ちが一拍子遅れて反応を示すと、打ち手が見極めているか、自分勝手に打っているだけか、わかる。 このように元立ちに反応までの時間の裁量をもたせると、打ち手の機会を見極める良い稽古になる。
中心を攻め、一瞬攻めを緩めることで相手の反応を誘う
あまり中心の攻めが強すぎると、相手は防御を固めてしまう場合がある。
攻めが効いた後に、ほんのちょっと緩めるようにすると相手が乗り返してくることがある。
緩めた瞬間に逆に打突されることのないように、備えておく。いつでもガードに切り替えられるようにしておくことも必要。
打ち手が竹刀を立てることで誘う
触刃の間合い辺りから、打ち手が竹刀を立てながら間合いを詰めるところを元立ちが打突しようとする機会をとらえる。
打ち手が竹刀を立てるのを見て、元立ちが打ちを出す感覚でおこなう。
竹刀を立てながら間を詰める瞬間を狙われたら、出端を打つことはできないので元立ちは注意する。 実戦では、このような相手に剣先を上げながら間を詰めていくことは、致命的になりかねない。 やるならもっと遠い間合いから誘うことになるが、うまく誘い出されるかは疑問である。
相手を見定めて、相手の狙いを外したタイミングで出す。
剣先を回して誘う
元立ちの竹刀のまわりを、剣先を反時計回りに回して動きを誘い出してとらえる。
打ち手の剣先の向きは相手の鍔元にむける。
打ち手の手元を円錐の頂点とした回転で、剣先が相手の身体から外れるようにまわしても、相手は動じない。 元立ちからすると、剣先が螺旋を描きながら手元へ迫ってくるように動かす。 (ただし間合い的に届かない感じなので、思わず打突を出してくるという想定。)
特に試合展開がリードしている場面では有効に使えることが多い。
単純に相手が棒立ちで手元を上げるだけなら、飛び込み胴も成立しうる。
手の内をきかせて、すばやく回す。時間がかかるようだと、逆に打たれる。 ただし鈍い相手の場合には、あえてゆっくり回した方が相手の動きを誘い出せる場合もある。
相手の反応が薄ければ、あまり多用する技ではないです。バレると逆に狙われる。
小手の手前を打突して誘う
元立ちの右小手の手前の空間を打突してして動きを誘い出し、とらえる。
剣先の向きは小手に向かうこと。
相手の身幅から外れると、嘘くさいので相手は何も反応しない。
右足だけの攻めで誘う
前進面のように右足を攻め入らせて打ち気を見せ、相手が反応して打突しようとするところを、そのまま左足で踏み切って出端をとらえる。
相手が反応する時点で、打ち手は身体が前に出て打ち出しているので、出端をとらえることができる。
相手が想定通りの反応ではなかった場合、体勢を崩さずに(前のめりになったりしないで)次の展開へ続けられるようにできることも大事。
前進面で重心の移動をしっかり身につける必要がある。
踏み込みで誘う
その場、あるいは軽く一歩を詰めながら踏み込み、その動作で相手の動きを誘い出す。
状況によっては、自分が打ちにいくタイミングを相手に知らせるだけになってしまうので注意する。
踏み込みで相手がどう反応しているかを見極める感覚が大事となる。
相手の竹刀を払いや叩いて誘う
踏み込みにあわせて、剣先で相手の竹刀を払ったり叩いたりして、相手の動作を誘い出す。
竹刀に目がいってしまって、相手の動きへの反応が遅れてしまうと逆に打たれる。
払ったりする際に、自分の剣先まで相手の身体から外れてしまうと戻すのに時間がかかるので、技が成立しにくい。 自分の竹刀が相手の竹刀の位置と入れ替わるような感覚でおこなう。
地稽古
地稽古
重点ポイントをふまえ、当てっこにならないように取り組む。 打突したらしっかり打ち切り、相手への間合いを詰めて、身体でのプレッシャーをかける。
特に中途半端な間合いに留まってしまうと、後打ちをされてしまう。(打ち合いが相手の好機を狙った打突で終わってしまい、相手の流れになってしまう。)
繰り出す技を決めて、先をかけて間を詰める。そのために「読みと想定」が大事となる。
「読み・想定」から「攻め=仕掛け・誘い」に進め、「相手が反応する」「相手の反応の対応する」の手順をくり返す。
相手の反応が想定と違ったら、身体をさばいて仕切り直す、間合いを作ると追い込まれて危ないのであればガードに切り替える、 間を詰めて打突をできないようにさせる、プランBの仕掛けに切り換える、打たれないように無難な打突をして相手の攻撃を封じる、 などの対応をする。
何事も想定どおりに運ぶ訳ではない。稽古なので、多少は無理な場面でも、それを乗り越えるべく打突や技を打ち切るチャレンジも大事。 またプランBの仕掛けを練習する必要もある。
さもないと、何もしないで出入りをくり返すだけで終わってしまう。
課題をもってやると、打たれることも多々あります。ただし、なぜ打たれたのかわかります。
「どうするか」を考えていない人は、「どうなるか」を想像できるようになりません。
これが地稽古での試行錯誤です。
お互いの打突などで間合いが切れてしまった後、あらためて構えあう時を丁寧にやる。 剣先が少し離れている程度までは歩み足でも良いが、そこからは送り足で慎重に間合いを詰める。 この入り口を雑にやると、先を取ることができず後手になりがち。
エア剣道
面をつけず、竹刀を持たずに試合のように打突を出しあう。
竹刀がないので、体格による有利不利がない。
足を使った機会の作り出しや、タイミングをとらえた打突、 体さばきをともなった防御、強い踏み込みや発声による有効打突のアピールで勝負する。
普段から「にらめっこするだけで、相手の動きを待つ」 「え?というような、何も組み立てのない打突だけをしている」人は、 何をして良いのかわからなくなります。
そういう人は実戦の場でも、同じ状況や心境になります。
足を使った間合いへの出入りの攻防から、フェイントや起こり頭をとらえる稽古や、 足さばきをともなうガードの練習には特に効果があります。
下記動画はご参考。
錬成会での小学生と大人とでの余興なので面白楽しくやっていますが、どちらもチャンスを狙って継ぎ足なしで打ち切っています。
大人はしっかり構えてピンポイントで狙っていますが、高校生の場合はインターハイなどを参考にもう少し足で間合いを使った攻防をすると実戦的です。
熱中症への対策
熱中症の予防
体調管理
十分な睡眠と食事(栄養)を取る。
水分補給
水分だけでなく、塩分・ミネラルも補給する。 スポーツドリンクであれば良いですが、お茶や水の場合は塩分タブレットも併用する。
また稽古前にもしっかり水分補給をしておく。
身体の冷却
身体に熱がこもると(放熱されないと)熱中症になります。 特に剣道は面をつけていると頭部に熱がこもりやすい。
待機中は、送風機の風にあたって積極的に熱を逃がす。 道着の袖口から風を通すと、脇の下を冷やすことができる。
稽古での工夫
面をつけずにやれる稽古を工夫する。 素振りによる打突力強化、エア剣道、竹刀を横にして受ける追い込み、鏡や動画を使った打突フォームのチェック等もできる。
面をつけない稽古では、手近なトコロに水筒をおいておき、いつでも飲めるようにする。 特に素振りでメニューを決めて各自で進める場合は、いつでも補給して良いようにする。
面をつけて稽古する場合は、「余り」を作るようにして見取り稽古をしつつ、 息を整えたり放熱するような余地を設ける。
例えば、以下のような隊列でやると「余り」を作れます。
基本打ち等での3人組①
基本打ち等での3人組②
追い込み等での隊列
追い込み等での3人組
稽古の構成
基本的に、全体で2時間以内に収めるように考える。
素振りで30分程度?
面をつけての稽古は15~20分やったら10分休みを目安にする。
体当たり・突き・追い込みで1区切り。
15分で終わらないようであれば体当たり、その次に突きを優先する。
切り返し・基本打ちで1区切り。
切り返しを優先し、時間や余裕があれば基本打ちに取り組む。 当初は切り返しだけでもキツいかもしれないので、その際は一部を省略しても良いです。
出端技、基本打ち、地稽古など、その日の全体での取り組む内容を選んで1区切り。
面をつけての稽古を3セットやれば1時間半~2時間弱になるはず。 夏場はしっかりやればこれくらいでもバテるでしょう。
適当に流していると、物足りなく感じるかもしれません。
天候などの状況によっては、もう1セットを増やしても良いかもしれません。