新しい手ぬぐい

2000.04.03

平成12年春、国立高校剣道部では、手ぬぐいを新しく製作しました。
なにしろその頃の剣道部ときたら、みんなで気持ちを合わせて臨む大会などでもお揃いの手ぬぐいがなく、 普段から台所の布巾になりそうな柄のモノを使っているものですから...。


今回作成した文字は右から左へ「活人剣」。左端には縦書きで「東京都立國立高等学校 剣道部」と入っています。


手ぬぐい文字には...

相手をやっつけたり叩きのめして奢るのではなく、良くはなかった所を気づいてもらいたい、 少々打たれてもへこたれずに「なにくそ」と打たれ強くまた立ち上がってきて欲しい、 そういう強さや勇気を吹き込む一本となるような剣を打ち込みたい。
逆に打たれてもそれで「自分はダメだ」と塞ぎ込むのではなく、 「気づかせてくれてありがとう」と素直に受け止めて、また一歩を踏み出して相手と対峙したい。

悩むことや苦しむことがあっても勇気を持って必ず一歩踏み出すことから、いつか「これだ」という一本をつかむ。 剣道を通じて、剣道それ自体だけでなく、人として強くなって欲しい。
竹刀の当てっこだけでなく、そんなふうに人間を活かす剣道ができればいいな。

...と、解説すると背中が痒いというか、歯の浮くようなセリフになりますが、 まぁ、こんな感じの思いから「活人剣」と決めてしまいました。


「百錬自得」とか「明鏡止水」「無念無想」等の修行の極致を目指すことを書いても、 何かそんなに本格的にやっている訳でもないし、似合わない感じだしなぁ~。
かと言って「不滅」「王道」「史上最強」など、「おらおら、勝つぞ~!」という感じの標語も違うしなぁ~。
...ということで、上記のようなことを剣道で感じ取ってくれればなぁ、という願いを込めてみたものです。

ちなみに文字は、その道で飯を食べている専門家の方に書いていただきました。剣道とは縁もゆかりもない人です。



色は少しわかりにくいでしょうが、ワサビ色の地に黒文字です。ありがちな染め抜きの白文字ではありません。 東京ではこの色は他にないし、2色刷り(ワサビ色&黒色)というのも、 あまりありません。なかなかイイ感じだと思います。
試合場では選手7人分の面がビシ~っと並んで、この色でお揃いの手ぬぐいがかけてあると、 なかなか目立ってかっこいいです。特に明るさの不足している剣道大会会場では、かなり目立ちます。 遠くからでも見つけやすいです。

(※追記:2015年4月に色を新調して、深緑色になりました。)