剣道時代 2007年8月号

2007.06.26

剣道の二大雑誌の一角である「剣道時代」の「高体連のひろば」という記事に、国高剣道部が掲載されました。
「高体連のひろば」は、高校剣道の関係者が近況や取り組み、出来事などを紹介するコーナーです。

パソコンで姿勢矯正
ビクトリープロジェクトで東京都ベスト8


 国立高校は東京都の進学指導重点校です。今年卒業した剣道部の先輩も10名中8名が現役で大学合絡、 そのうち6名が東京大学をはじめとする国立大学に進学しています。
 剣道部の監督は酒井健太郎先生です。先生は2年前から国高に赴任されました。 「三年早く稽古するより、三年かけて良い師を探せ」と、剣道では良い指導者に教わることが重要だといわれていますが、 私たちは素晴らしい先生に出会うことができました。
 酒井先生は赴任された最初のミーティングで「国高剣道部ビクトリープロジェクト」を打ち出しました。 その名称の由来は、先生がアテネ五輪JOCビクトリープロジェク卜を担当した味の素(株)の栗原秀文氏を招いたことがきっかけです。 目標であるインターハイ出場を現実のものにするため、栗原先生から一流アスリートの競技力向上の知識を学ぶことが大切だと教わりました。
 国高には競技実績のある剣道部員はひとりもいませんでした。強豪校と勝負できるようになるため、 一流のスポーツ選手が取り組んでいる競技力向上の手法を導入しながら稽古を工夫し、 一回の稽古の成果を高めることを意識しました。
 まず、オリンピック選手のトレーナースタッフを招いての栄養学セミナーを行ないました。 国高に入学した新入生は、受験勉強にかかりきりだった生徒が多く、筋力不足は明白でしたので、 このセミナーはとても効果的でした。 今までは稽古を積めば剣道は上達すると思っていたのですが、体作りからすでに勝負がはじまっていることを学びました。
 現在は、酒井先生が順天堂大学で清野武治先生に教わった一刀流を学んでいます。 一刀流を象徴する切り落としをはじめ、八相・脇構えからの打ち落とし、 袈裟斬りなどの練習で剣道の本質である刃筋を正しく振る技術を学び、剣道の奥の深さを感じることができました。 中学時代までは剣道のおもしろみを感じる部分が少なかったのですが、 先生の指導を受けて剣道の本質について深く学ぶことができ、剣道が楽しく思えるようになりました。
 IT機器を活用した技術分析も行なっています。練習や試合で嫌影した映像を、スロー再生、分解写真、 パワーポイントによる技術アドバイスがCDーRに編集され、部員に配布され、自宅のパソコンに保存しています。 自分の試合する姿を見たり、先生の助言を見直すことで、技術を修正する意識が高まりました。 部員ひとりひとりが、常に課題意識を持ちながら稽古するようになりました。
 中学時代はほとんど大会に出場経験のない私が2年時には東京都個人戦でベスト8に進出し、 国体予選でも最終リーグまで進出することができました。 また今年は、同級生の山本祐子も東京都個人戦でベスト8に進出しました。 女子チームは関東大会予選では2年連続でベスト16に進出し、関東大会はあと一歩のところにまで力をつけました。
 国高剣道部ピクトリープロジェクトは着実に軌道に乗っています。 国立高校剣道部として、野球部の都立高校初の甲子園出場に続く快挙を達成できるようにがんばりたいです。

執筆は3年生の女子主将:原島紗弓(H20)。顧問の酒井先生の指導を受けながらの執筆だったというが、かなりの添削が入ったとか、入らなかったとか。
メディアの影響は大きく、翌年の入学希望者も増えたと聞きました。